「我慢は美徳」が及ぼす影響

日本の社会には、古くから忍耐や我慢が美徳とされる文化が根付いてきた。仕事でも人間関係でも、多少の困難は我慢して乗り越えるべきと教えられてきた人もいるだろう。しかし、この我慢の文化は、現代において多くの人々を追い詰める要因となっている。

忍耐して我慢をすることは、ときに成長につながることもあるが、心身に大きな悪影響を及ぼすリスクを伴う。特に、理不尽な状況や、自分の力ではどうにもならない環境の問題(パワハラ・過剰な業務量等)に対して我慢を重ねると、それはただの消耗となり、行き過ぎた精神的疲弊を招く。

我慢が限界に達すると、心身の健康に悪影響が出る。不眠・胃痛・頭痛といった身体症状が現れ、さらにはうつ病といった心の病を引き起こしかねない。我慢の限界を超えて働き続けた結果、取り返しのつかない病気になってしまう人もいる。特にうつ病は、治るまでに時間がかかり、生活にも大きな支障を及ぼすため、決して軽視できない。

こうした背景から、自分の声を無視する我慢は、心身に対する毒といえる。心と身体が発するサインを無視せず、すぐに助けを求めること、また臆することなく環境を変える勇気を持つべきだ。自身と心の健康を守るための行動こそが、最も賢明な美徳なのである。仕事に限界を感じたとき、休職や転職といった逃げる選択をすることは、弱い在り方でも恥ずかしい行動でもなんでもない。人生は身体が資本だ。自分の健康を害してまで忍耐すべき仕事など、この世に存在しないのだ。